書評『『物質と記憶』を解剖する 現代知覚理論・ 時間論・心の哲学との接続』 (書肆心水、2016 年)

平井 靖史・藤田 尚志・安孫子 信 編 『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する 現代知覚理論・ 時間論・心の哲学との接続』 (書肆心水、2016 年)について、現時点までで把握している書評をご紹介します。

PBJウェブサイトのBooksページで紹介済みですが、今年の2月に週刊読書人にて、和歌山大学の小関彩子さんによる書評をご執筆いただいております。こちらから。

二本目となる書評として、北海道大学の村松正隆さんによるものが、日仏哲学会の論集『フランス哲学・思想研究』に掲載されました。ありがとうございました!

http://sfjp-web.net/journal/journal/『フランス哲学・思想研究』第22号書評.pdf

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2017シンポジウム用ポスター・チラシ完成

今年度10月26日から開催されるベルクソン『物質と記憶』国際シンポジウムのフライヤーです!
いよいよ『物質と記憶』科研費も最終年度。今年は『『物質と記憶』入門』刊行20年になるフレデリック・ウォルムスを招くことができました。ぜひプログラムを眺めてみてください。

2017 告知用PDFファイル(日本語版・英語版、各表裏2頁。各画像ファイルはクリックで大きくなります)

  • JPG画像ファイルは拡大してからブラウザのメニューで保存できます(画質高)[Downloadable JPG files (highest resolution) below]。
  • 日本語版、表裏をPDF化したものはこちら [Japanese PDF recto & verso (middle size)]。
  • 英語版、表裏をPDF化したものはこちら [English PDF recto & verso (middle size)]。
  • PDF版はファイルサイズを優先して画質を若干下げています。
  • 画像なしのプログラム(文字列コピー可能)のPDFはこちら:日本語版英語版[English PDF w/o image]

2017ISTP(国際理論心理学会) で発表

明日からの8月21-25日にかけて立教大学で開催される、ISTP(国際理論心理学会)の二つのワークショップで発表します。

21日17:15-19:15に宮原克典さんのワークショップで、ベルクソンの創発が、通常の全体論的なそれと逆転して「減算的な」創発になっている点について。

Privative Emergence of Consciousness:

Bergson’s Temporal Extension Model

22日11:00-12:30に國領佳樹さんのワークショップでベルクソンの汎心論(汎質論)について。特に時間次元に訴えた組み合わせ問題の解法について。

Bergson’s Panpsychism and Memory Dualism

独立なWSですが、結果的に相補的な内容になっています。

日本時間学会に参加

2017.06.10-11 日本時間学会第九回大会@山口学芸大
公開シンポジウム
http://www.rits.yamaguchi-u.ac.jp/?p=1657
全体スケジュール
http://timestudies.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/平成29年度第1号-大会お知らせ号4月1日発行.pdf
個別発表
http://timestudies.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/自由報告発表タイムテーブルH29xlsx.pdf

初めて参加してきました。特に今回の公開シンポジウムは、心に学際的な時間論的アプローチで迫るというもので、PBJの主旨に共鳴する部分が多くかなり興味深く拝聴しましたが、そもそも時間学会そのものが非常に多彩な人材が集まっており、個人発表でも普段は聴けない類いの議論(応用数学、経済学、言語学、教育学、防災学、天文学etc)に大いに刺激を受けました。

シンポでは、天野薫さんがDecNef(フィードバックを与えて自分で自分の脳活動を変動させる手法)を用いることで意識状態と安静時アルファ波との「相関」を越えて「因果」と言えるって話がかなりクリア。竹村浩昌さんは灰白質ではなく「白質」(いわば神経のハイウェイって比喩をされていた)の研究をされていて珍しい話を聞けた。そんな深いところでアストロサイト、オリゴデンドロサイトたちがモニタリングしつつ神経束の振る舞いを変えていく動的な仕組みがここ5年くらいで分かってきたという点を質問して確認とった。すごい。そして時間学研究所の寺尾将彦さんは、バラバラの場所でちぐはぐ速度の異なる処理をしているのに、出力としての心の時空は安定した時間になっているのは、いったいどこで統合しているのかっていう話。ベイズ推定で確率と確率の掛け算をやって、よほどのことでない限りもともとのバイアスに保守的に順応させてるとか。この辺、脳内時間の多層性から、生体レベルでの現象的な時間スケールにどう寄与するのかっていう部分を埋める話なので、ベルクソンにとってもほんと重要。

ゲオルグ・ノルトフの講演会についてはまた。

セラ・トカイ『音楽家としての身体 音楽的運動性の現象学』

Serâ Tokay, Le corps musicien – Une phénoménologie de la motricité musicale, Liber, Montréal, 2016

2016年度PBJシンポジウムで招いたジャン=リュック・プチから紹介された書籍。

自身が一流の指揮者である著者が、音楽家の身体でなにが起きているのかを現象学的に論じている稀な書籍。そこでまなざしや呼吸、身振りが果たす役割を、具体的に解明している。現象学や神経科学の記述などはプチが監修したと聞いた。

第一章は「固有身体、キネステーゼ、音楽」。第二章は「音楽的感情の神経心理学的基礎」、第三章は「音楽における時間性」、第四章「コンサートでの間主観性」、第五章「オーケストラ指揮者の運動的エンパシー」という構成。

全般に具体的な楽節が例示されていて、音楽的素養があればさらに面白いのだろうな、と。第三章ではフッサールの時間図式が応用されているし、temporalité affectanteとしてのニュアンス、音楽的運動の多次元性など、他では見られないしなやかに行き届いた分析が、すごく新鮮。

これは翻訳されて広く哲学者だけでなく音楽家や音楽関係者の人にも読まれてほしいと強く思った。

『反「大学改革」論』ナカニシヤ出版

九州産業大学の藤田尚志先生からご恵投頂きました。ベルクソン研究はもちろんのこと、家族・結婚の哲学についても昨年三巻本を上梓された上に、以前から取り組まれていらっしゃる大学制度の問題についても、着実に成果をものにされており、その精力的な活動に讃嘆の念を禁じ得ません。

現今の制度が依存しているperformanceという尺度はコードに依存しているが、ベルクソンのアイデアを媒介することで、その(可能性の、ではなく)「実在の条件」としてのperformativité(行為遂行性)に論点を立ち返らせ、その上でカントの大学論を脱構築する。哲学による/としての制度批判を、まさに実践されています。

PBJ後援WS:ハイパー時間(エリー・デューリング+千葉雅也+近藤和敬)

PBJ(Project Bergson in Japan)『物質と記憶』のスプリット企画として、2015年の初回シンポにも登壇し、われわれの「拡張ベルクソン主義」の名付け親(彼とポール=アントワヌ・ミケルによるマニフェスト文も昨秋出版した『『物質と記憶』を解剖する』に所収)でもあるエリー・デューリングを招いて、4月29日土曜日に法政大学で開催しました。

昨年11月に開催された大規模なChose en soiワークショップの企画者のひとりである彼が自身のアイデアを語り、それに千葉雅也氏と近藤和敬氏が答えるというプログラム。たいへん盛況でした。千葉氏のacuteな、近藤氏のdeepな、また会場に見えた清水高志氏のsubtleな質問、そのほか多くの議論が飛び交い、時間切れまで密度の高い異なる持続の異質的共存が会場を満たしていました。本体である『物質と記憶』PBJも今年度が最終年度。しっかり形にしていきたいと思います。

エリー発表原稿の配付は出来ませんが、参考のため「プレ要旨」をごく簡単に訳したものはこちら。引用文などは訳出していません。

デューリング プレ要旨簡易訳(平井)

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