グルノーブルWS:Remembering: Analytic and Bergsonian Approaches
グルノーブルでの記憶の哲学ワークショップを終えて帰国。
現地の記憶の哲学センター(CPM)のカーケン・マイケリアンと共同で開催した今回の企画は、これまで断絶されていた2つの伝統、分析系の記憶哲学とベルクソンにおける記憶の議論を橋渡しする実験的な試み。CPM自体、昨年10月にオープンしたばかりだが、マイケリアンの主導によりものすごいペースで活動している。
他方、PBJでは『物質と記憶』の研究を開始した2015年度から、分析系の議論との接続は意欲的に行ってきた。知覚の哲学、時間形而上学、そしてもちろん、デイントンを介して時間経験の哲学へと。そして、今回、CPMの開設に伴い、ベルクソン哲学のもう1つの重要な理論的重心をなす「記憶」についても機が巡ってきた。6月にマイケリアンの元を訪問し、ベルクソンの記憶理論との接合可能性について平井がプレゼンし、今回のWSの開催に至った。
CPMからは主に分析系の理論家、ハイブリッド理論の論文(これが今回の企画の大きなきっかけになった)の著者であるAndré Sant’Annaや、最近Remembering from the Outsideを出版したChristopher McCarroll、ベルクソンのデジャヴュ理論にも詳しいDennis Perrin、私的言語における記憶の問題を論じるReza Mosmerらが参戦。日本からは平井のほか、著名なベルクソン研究者である藤田尚志、永野拓也両氏に加え、言語の観点から記憶にアプローチしている桜木新氏。フランスからは盟友Sebastien Miravète。そしてキーノートとしてバリー・デイントンが参加。
お互いに方法的・理論的に小さくない隔たりがある中で、どうやってより生産的な対話ができるか、それぞれが柔軟かつオープンな姿勢で取り組んでいる点が強く印象に残った。
次の展開については、また後日報告できればと思う。
Yasushi Hirai opening Remembering: Analytic and Bergsonian Perspectives @hiraiyasushi1 pic.twitter.com/uY0iITnO0A
— Kourken Michaelian (@mnemosim) October 28, 2019
Paperback version comes out!
グルノーブルWS初日だん。
ちょうどラウトリッジ・ハンドブックのペーパーバック版が出てて、冒頭あいさつの時にマイケリアン@mnemosim がくれた。ありがとう!ベルクソンと分析系の記憶哲学。新しい模索的な試みだけど、みんな生産的にコミットしてくれていて最高だ。 pic.twitter.com/L33tsFAWzf
— 平井靖史『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する』(書肆心水)共編著・発売中 (@hiraiyasushi1) October 28, 2019
グルノーブル記憶の哲学ワークショップの締めのキーノートは、バリー・デイントン。
4年前からPBJに加わってもらって、そして今年、カーケン・マイケリアンと開催したこのワークショップで、話してもらう。
ベルクソンを介して、時間経験と記憶、2人の分析哲学者同士の間にも新しいつながり。 https://t.co/2Xqm5NfTEN
— 平井靖史『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する』(書肆心水)共編著・発売中 (@hiraiyasushi1) October 29, 2019
グルノーブル。記憶をテーマに分析哲学とベルクソンを橋渡しする実験的なイベントとして企画したもので、分析哲学者たちもベルクソンのテクストを引用し、みんな生産的に協力して熱いイベントになった。全員のオープンなマインドに感謝しかない。 pic.twitter.com/kiIwf6MSu0
— 平井靖史『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する』(書肆心水)共編著・発売中 (@hiraiyasushi1) October 30, 2019